先日、あるお寺の本堂と庫裏の畳張替えをさせていただきました。
本堂には、寺院で多く用いられる「紋縁(もんべり)」を使用しています。
この紋縁は、紋様が畳の四隅や畳が隣り合う部分で正確に揃っていなければなりません。
わずかなズレが空間全体の印象を左右するため、すべての工程に細心の注意と静かな集中が求められます。

紋縁の仕事に取り組む時、私はいつも自分が試されていると感じます。
手元の技術だけでなく、心の状態までもが仕上がりに映し出されます。
少しでも気持ちに曇りや妥協があれば、そのまま紋様(柄)の揃い方や納まりに表れてしまうのです。
まっすぐに向き合うほど、畳は正直に応えてくれる——そう実感する仕事です。

紋様が整って見える一方で、まだまだ私の理想の形には届きません。
畳づくりの道は深く、終わりがないと感じます。
それでも、ひとつひとつの現場で心を整え、手を尽くし、より良い仕事を目指していきたい。


このたびご縁をいただいたお寺様に、そしてこの学びの機会に、心より感謝申し上げます。

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